映画「ダンケルク」感想・レビュー!/新感覚で戦争を魅せる作品!
映画『ダンケルク』のあらすじやキャストについては過去の記事で一度まとめておりますので,以下をご覧ください.
感想
『ダークナイト』シリーズや『インセプション』でお馴染みクリストファー・ノーラン監督の最新作『ダンケルク』を観てきた.今年度に日本で公開された映画『ハクソー・リッジ』と同じく第二次世界大戦が舞台の作品である.しかし,両者は徹底的に違っており,『ダンケルク』においては〈新感覚〉といった表現がピッタリな仕上がりであった.
戦争映画で〈撃たれた箇所の止血〉は王道の描写であり,この表現は視聴者に残酷さや悲惨さを伝えるにはもってこいな表現である.しかし,『ダンケルク』においては目を塞ぎたくなるような傷や怪我の処置は少なかった.これは,生と死の間である〈負傷状態〉をなくすことで,生と死の線引きをはっきりさせ,〈いつ死ぬか分からない〉恐怖を視聴者により鮮明に伝えることに焦点を当てたからであると考える.また,物語の舞台は〈戦場〉であり〈船上〉であるため,溺死の要素を多く取り入れる必要があるため負傷の数が少なかったのだと思う.
戦争映画では〈恋人や家族〉との関係は感動させるための要素であるが,驚いたことに今作では恋人や家族との関係はあまり表現されていない.これは,主人公が一人に絞っていないといった今作の特徴からの理由であるかもしれないが,場面を転々とさせながら実話を語る上でスピード感を演出するための表現と言ってもよいと思う.まさに〈新感覚のミリタリー作品〉であった.
上映時間は106分となっている.ドキュメンタリー系の映画にしては比較的短いという印象である.これにより,スピード感が生まれ緊張感を維持しつつ鑑賞できる映画となっている.もし仮に,今作が120分を超えるものであったとしたら,映画の撮り方や脚本は大きく変わり,全く別物の映画となったであろう.『ダンケルク』が新感覚な戦争映画になった理由はこの上映時間ゆえであるという見方もできる.
様々な俳優が参加していた.トム・ハーディは超絶イケメン,マーク・ライランスはスーパー演技派俳優であったことは今作でも健在であった.注目したいのはやはりハリー・スタイルズである.彼は世界的ポップアーティストのワン・ダイレクションのメンバーである.今作で華々しい俳優デビューを飾った彼であるが,予想よりもかなり良い演技をしており次回の出演があれば是非観たいと思った.
血みどろな戦場ではないためグロテスクな表現が苦手な人でも戦争というテーマが大丈夫であれば,大いに鑑賞することをオススメする.スピルバーグ作品のように狙ったところで感動させられるものではなく,自らで感動してしまうクリストファー・ノーランの作品を是非楽しんでいただきたい.
どんな人にオススメ?
- 戦争・ドキュメンタリー映画が好きな人
- ノーラン監督が好きな人
- グロは苦手だか戦争映画を観たい人
- 1Dのハリースタイルズを見たい人
- 新映像体験を少し感じてみたい人
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